LEGOによるスクラム体験|技術情報

LEGOによるスクラム体験

「一日業務体験インターン」で実施した「LEGOによるスクラム体験セミナー」のレポートを公開します。

実施風景

2018年卒の学生に向けて、一日インターンを実施しました。

業務内容の説明や業界説明、先輩社員との交流など、盛りだくさんの内容でしたが、 今回は業務体験の一環として実施した、「レゴによるスクラム体験」コーナーの内容をご紹介します。

概要

今回のインターンは、一日という短期間ですし、 プログラム未経験の学生も対象としていたので、 実際にプログラム開発の体験を行ってもらうのは、時間的に無理でした。

その為、「LEGO4SCRUM」というトレーニング手法を実施することにしました。

LEGO4SCRUMとは

LEGO4SCRUMは、「業務経験者」に向けた、スクラムのトレーニング手法です。

実施方法はWebページで公開されており、誰でも自由に見ることができます。

スクラムとは「開発チームが一体となって働くこと」を目的とした、アジャイルソフトウェア開発手法の1つです。開発メンバーが自発的にコラボレーションを行いながら、流動的な要求仕様の変化に対応し易い点が利点です。

LEGO4SCRUMとの違い

ただし、今回はあくまで「業務理解」のために行いたかったため、一部をアレンジして実施しました。

まず、一番良くあるケースである「システム開発の受託案件」をシミュレーションすること。スクラムの概念理解は「ストーリーポイントやベロシティの理解のみとする」こと、実際のスクラムは、スクラムリーダーがいるなど、方針が異なる点があります。

進め方

基本的には、LEGO4SCRUMで配布しているPDFをベースに、やり方を軽量化しました。実施時間はおおよそ1時間半〜2時間程度に収まります。

準備

これくらいの量になります

イントロダクション

アイデア出し

ルールの説明

時間制限

見積もり

ストーリーポイントとは、作業量を表す架空の単位です。

例えば、一階建ての家を「ストーリーポイント1」とすると、二階建ての家は二倍の労力がかかると見込まれるため、「ストーリーポイント2」と置きます。

所要時間のような、絶対的な単位で作業を見積もることは熟練者でも非常に難しいですが、 相対的に見積もるのは比較的簡単なので、このような手法を用います。

スイムレーンウォールとは、下記画像のようなものです。

スイムレーンウォール

付箋に書いたタスクを一つづつ取り出し、それぞれどれくらいのストーリーポイントを割り当てるべきか、 参加者に聞き、該当するストーリーポイントのレーンに貼っていきます。

スイムレーンに分配し終わったら、それぞれのカードにストーリーポイントを書いていきます。

ストーリーポイントの見積もりには「プランニングポーカー」というカードを使った見積もり手法が有名ですが、 スイムレーンウォールはより高速な見積もり手法です。 今回は時間の制約があるため、スイムレーンウォールを採用しました。

スタート

スプリント実施風景

【1】スプリント計画(3分)

【2】スプリント(7分)

【3】スプリントレビュー(5分)

これを、3回繰り返します(1回につき15分かかります)

まとめ

実施風景

実施風景

小さなパーツを見つけるのが大変なようで、あとで小さいパーツは袋に分ける工夫を行いました。

実施風景

チームによって、装飾のセンスが出てくるので見ていて面白いです。

実施風景

オリジナル版では4人以上を推奨としていますが、初対面のメンバーだと案外2〜3名程度の方が、積極的に参加してくれるので感触としては良かったです。

実施風景

「理想の街」の条件として、交通機関が挙げられることが多かったです。要望を出す側も交通機関があると生活動線からの意見を言ったりと、やりやすい面が有りました。

実施風景

スプリントの枠は最初から3つ書かない方が良いようです。ベロシティが出る前に、全体の計画に意識が行ってしまいます。

実施風景

実施風景

実施者が市長になりきって、「市長の家」や「市長の像」をリクエストするとやりやすいですね。「市長の像」は特に無茶な要求を思いつきやすいという事情もあったりします(作る側は大変そうでしたが)。

参加者から寄せられた感想

参加者からは、以下のような感想が寄せられました。

実施者としての感想

システム開発のプロセス体験としても十分に使える、かなりよく練られた手法であると感じました。また、LEGOを使ったことで、かなり敷居の高さを抑えることが出来ました。

実際に起きるコミュニケーションもなかなかリアルで、例えば1回目のイテレーションで「おもったよりこなせてしまった」チームが、2回目で欲張った計画を立ててしまい、炎上して計画の見直しを余儀なくされるシーンがありました。 慌てる参加者とは裏腹に、実施者としては「この失敗をしてほしかった!」と思っていました。

一方、チームによって作る建造物のスケール感がバラバラで、最初に小さく作りすぎてしまい、最初に切ったチケットの大半が2イテレーションで消化されてしまうことがありました。最初にスケール感を指定して置くことが大事かもしれません。